都立公園からの野宿者しめ出しの条例化に反対する抗議声明に賛同を!

昨年秋より,東京都が都立公園条例の改定(都立公園での野宿禁止条項の盛り込み=改悪)に向けて水面下で動き出しています.改定案は,2004年度の都議会ではまだ提出されませんでしたが,今年度の都議会で提出・審議される可能性があります.万一可決されてしまえば,東京だけでなく,全国各地へと波及していってしまうおそれもあります.
 そこで,この条例改定(改悪)の動きを阻止するため,都内の支援・当事者団体と個人の集まりである「公園の会」(地域生活移行支援事業を考える会)では,条例改悪の動きに対する抗議声明文(都立公園からの野宿者しめ出しの条例化に反対する抗議声明)を作成しました
声明文の趣旨にご賛同いただける方(個人および団体)は,お名前(または団体名),住所(市区町村まででもかまいません),お名前の公表(web等への掲載)の可否を明記のうえ,kouen_no_kai@yahoo.co.jp あるいは,声明文末尾の「連絡先」(山谷労働者福祉会館,渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合)までお送りください.
いただいた賛同の声は,都議会の各会派へのロビイング行動や議員へのアプローチ,問題についての社会的アピール(webへの掲載等)などに活用させていただきます.ご賛同のほど,どうかよろしくお願いいたします.なお,第1次集約日は5月15日とさせていただきます.

また,下記URLに,声明文のファイル(署名用紙も兼ねます)を置いておきますので,団体や知人・友人の方に呼びかけてくださる場合にはご利用ください.
(画像版)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~ninja/seimeipic.gif
(pdf版)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~ninja/seimei2.pdf

都立公園からの野宿者しめ出しの条例化に反対する抗議声明に賛同の声を!
私たちは公園での居住禁止条例に反対します!

私たち公園の会は東京都内の野宿当事者とその支援活動を行なっている団体・個人の集まりです。
2004年10月8日、石原東京都知事は定例記者会見で、都立公園でのホームレスの居住を禁止する条例改定を考えていることを明らかにしました。新聞では、「受け入れ態勢を整えた上で」「ホームレスの(公園での)居住の禁止の明文化も検討しており、実施されれば全国初」、「違反した場合の警告の手続きを厳しくする」と掲載されました。 この条例には多くの問題点があります。

1:都知事の発言では野宿生活の実情がまったく考えられていません。
 まず、石原都知事は「坊主と何とかは3日やったらやめられない」という発言に見られるように、野宿者の生活の厳しさをまったく理解していません。現在、日本には2万5000人以上の野宿者がいます。いったん野宿状態に追い込まれてしまうと、住所がないために職につくことがほとんどできません。職がなければ住居を確保することができません。そして福祉行政は憲法で定められた国民の最低限の生活すら保障していないのです。
全国各地で起こる追い出しや荷物撤去では、行政によって生存の条件である寝場所を奪われ、社会的な生活の条件である個人の荷物まで奪われてしまいます。たとえば2004年10月29日、自立のために代々木公園に新たに立てられた9名の野宿者のテントを都・建設局−東部公園緑地事務所は当事者と話し合う場もなく、100名近い職員、ガードマン、警察を朝4時に動員して暴力的に撤去しました。このうち5名は現在、人権救済申し立てを行っています。

2:都知事の考える公園の居住の禁止は、見た目をキレイにするだけで、この社会が野宿まで追い込んでいる問題を見えなくしてしまいます。
 都知事は野宿者を「景気の下降がもたらした所産」と話していますが、野宿者は単に経済不況によってのみ 野宿にいたっているわけではありません。日本経済においては産業構造の転換(たとえば製造業からサービス産業などへ変わる)、労働者に強いられるリストラ・首切り、賃下げなどの激しい切り下げ競争、パート・派遣などの不安定雇用化などによって失業者が増えることは避けられませんでした。その失業者に対して政府が必要な失業対策や社会保障などを行わなかったために多くの人が野宿にまで追い込まれているのです。一部のテント生活者だけに受け入れ態勢を作って公園から排除すれば野宿者問題が解決するとは到底考えられません。
 また撤去そのものも、日本が批准している国際社会権規約第11条で「人は誰でも住まいへの権利をもつ」ことが定められており、重大な人権侵害であると繰り返し警告されています。テント撤去は、住む場所を奪い、就労などの条件を奪うだけでなく、目にみえなくさせることで人知れず野垂れ死にを強いる愚策です。

3:都知事の発言には野宿者は「こわい」「危険だ」という偏見と、社会から追い出せばよいという発想があります。
 都知事は「昼間でも若い女の人たちが公園で体操のトレーニングをするとか(中略)できなくなった」と、偏見を強める発言をしています。これまでこのような発言は社会的に弱い位置に立たされてきた野宿者を排除し、若者による野宿者襲撃事件などぜったいに許してはならない出来事を引き起こしてきました。社会全体がこのような考え方になってしまえば、野宿者だけでなく偏見や差別に苦しむ人々がますます社会的に排除されてしまうのではないでしょうか。この公園での居住禁止条例は野宿当事者の意見を聞いてともに生きる道を探ることを放棄し、排除、差別を許してしまうものです。

4:都知事の発言にある「受け入れ態勢」は不十分です。
 都知事の言う受け入れ態勢とは、東京都が都内5公園(戸山公園、上野公園、代々木公園、新宿中央公園隅田公園)のテント野宿者に対し、低家賃でアパートを借り上げ、半年間の臨時就労を行うと称するものです。しかし、そもそもテント生活でない野宿者や5公園以外で生活する野宿者に開かれた対策ではありません。また、2004年からすでに3公園で事業が開始されていますが、アパート移行後の生活や就労の保障が必ずしも十分でなく不安をかかえる人も多くいるのが実情です。今回の公園での居住禁止が条例化されてしまえば、「事業に従わない人」のテントを強制的に撤去することが許されてしまうのではないでしょうか。テント生活で助け合っていた仲間同士のつながりも行政の撤去によってバラバラに壊されてしまいます。また、2005年1月24日には名古屋白川公園で行政代執行という手続きにより8名の野宿者のテントが強制撤去されており、このような公園での居住禁止条例化は都内だけでなく全国の野宿者にも深刻な影響を与えることが予想されます。

私たちは以上4つの理由から、都立公園からの野宿者しめ出しに強く反対します。
みなさんもぜひこの問題について考えてください。そして一緒に声をあげていきましょう!

公園の会世話人(五十音順)
新井幸子
池上哉美(フードバンク)
小川修(いんくるーしぶ杉並)
黒岩大助(渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合
後藤浩二(スープの会)
中村訓子(ほしのいえ)
なすび(山谷労働者福祉会館活動委員会)
レイナ・ルセンコ(IMA緊急シェルター)

[連絡先]

  • 山谷労働者福祉会館
  • 渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合
    • 東京都渋谷区東1-27-8-202 TEL&FAX 03-3406-5254 携帯 090-7221-7427

声明文の趣旨にご賛同いただける方(個人および団体)の方は,お名前(または団体名),住所(市区町村まででもかまいません),お名前の公表(web等への掲載)の可否を明記のうえ,
kouen_no_kai@yahoo.co.jp
までお送りください.