報道から:5年間に1052人が変死、大阪府で

路上生活者(ホームレス)が全国で最も多い大阪府で、00〜04年の5年間に1052人のホームレスが変死体で見つかっていたことが、厚生労働省研究班(主任研究者、黒田研二大阪府立大教授)の調査で分かった。うち114人が凍死・餓死しており、自殺は122人に上った。ホームレスの死をめぐる大規模な調査は初めて。研究班の的場梁次・大阪大教授(法医学)は「死を防げたケースは多く、メンタルケアを含めた医療対策の整備が急務だ」と話している。

 厚労省の03年調査では、全国のホームレスは約2万5300人。大阪府は7757人で、大阪市だけでも6603人と東京都(6361人)を上回っている。

 研究班は、大阪府警や同府監察医事務所などの協力を得て、過去5年間の府内の変死事案約5万件からホームレスを抽出したところ、1052人に達していた。それをもとに死亡場所や死因などを検討した。

 死因を分析すると、約7割が病死だったが、餓死が38人、凍死が76人もいた。また自殺したとみられるホームレスが122人に上っており、自殺予防のためのカウンセリングやメンタルケアが課題であることを示した。

 年齢別で見ると、40代126人▽50代423人▽60代365人と、比較的若い死亡者が目立った。地域別では、大阪市内が874人を占め、うちあいりん地区がある西成区は436人に上った。

 ホームレスの多くは、医療費の自己負担分を支払えないため、無料低額診療を行う一部の医療機関で受診するしかないのが現状だ。研究班は「病死の大半は感染症や栄養障害が原因。凍死や自殺を考え合わせると、必要な医療や衣食住の保障があれば、死亡を防げた」と指摘する。【坂口雄亮】


毎日新聞 2005年4月16日 15時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050416k0000e040071000c.html